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デジタル化したことで複数の画像を繋げあわせて別の画像を作り出す(再構成)や解析なども飛躍的に簡単に出来るようになった。再構成手法は色々あるが[[MPR]]法(Multi Planer Reconstruction、他断面再構成法)や[[MIP]]法(Maximum Intensity Projection、最大値投影法)、[[ボリュームレンダリング]]などが有名。 | |||
もともとは[[ヒト]]([[人間]])のために作られた規格であるが、[[動物病院]]をはじめ、飛行機などの非破壊検査でも使われ始めており、DICOM規格もそれらに対応すべく拡張が続けられている。 | |||
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[[読影]]を行うという意味では、[[高精細モニター]]が写真フィルムに比べ、画質が大幅に劣ることから敬遠される傾向があった。たとえばレントゲン写真をみるための[[シャウカステン]]は輝度3000~15000カンデラ、写真フィルム自体のコントラストは20000諧調くらいある。現在最高スペックの高精細モニターなどをもってしても一桁性能が違う。 | |||
ただDICOM画像は、ウィンドウレベル変換などの写真フィルムとは異なる見方ができ、解析や再構成も容易、可搬性や保管性なども圧倒的に優れているなどの写真フィルムにはない利点も多々ある。 | |||
また[[厚生労働省]]による[[PACS]]導入補助(画像診断管理加算などの保険点数)が実施されたことで爆発的に普及した。[[PACS]]導入による[[フィルムレス]]化をすることで、一時的に莫大な導入コストは掛るものの、[[保険点数]]は一気に増えるのに(収入が増える)、写真フィルムのときに問題となっていた[[薬事法]]の規定でフィルム捨てられないことによる保管費用(倉庫費用)や現像液の廃棄料(産業廃棄物指定されているので高い)などが掛らなくなる(支出が減る)。 | |||
またネットワーク越しに簡単に画像データをやりとりできるため、遠隔医療・遠隔読影も一気に普及の兆しを見せている。ただし学閥・医局の繋がりが強いので、最近流行りの「クラウド」などの商業化という意味では、そこまで一般化はしていないし、そこまでたどり着くには何十年もかかると思われる。 | |||
短期的な出費は増えるが長期的には儲かるということで多くの大学・医大、[[病院]]が導入した。一方で[[診療所]]などの小規模な施設では未だに写真フィルムが全盛である。そもそも診療所にはPACSメーカーの営業すら来ないという。これはPACSの利益率の問題で、5年間保守するという前提では消耗品である写真フィルムに比べPACSの価格が非常に安く(利益率が悪いため)、診療所向けの小規模システムでは交通費すら捻出できないためであると言われている。 | |||
電子カルテやレセコンなどとの相互接続方法の標準化も検討されているが、DICOM関連団体が必死に活動しても、電子カルテ業界は腰が重いらしく、とくに動きはない。 | |||
日本によけるDICOM関連製品の保証期間は一般的に5年。薬事法での耐用年数が最大5年なので5年。パソコンはせいぜい1~2年保証なので、5年以内に3回程度壊れる前提で見積もり出させることが重要。大きい病院の場合、トラブルは担当者の責任になるので、擦り付ける業者が必要。業者も擦り付けられる前提の価格を提示するのが普通である。小さい診療所の場合は運用保守を自分でやるのもいい。それしか選択肢はないともいう。 | |||
== 歴史 == | == 歴史 == |
2011年8月11日 (木) 12:12時点における版
DICOM(ダイコム)とは、Digital Imaging and COmmunication in Medicineの頭文字をとったCT(コンピュータ断層撮影)やMR(核磁気共鳴画像法)、CR(コンピュータX線撮影)などの医用画像機器(モダリティ)で撮影した医用画像の画像フォーマットおよび医用画像機器間の通信プロトコルを定義した標準規格である。
レントゲン写真も普通の写真と同じくデジタル化したことで、フィルムではなく画像ファイルとして保存されるようになり(俗に言うフィルムレス化)、受け渡しもネットワーク越しに行われるようになったが、DICOMではその画像ファイルフォーマットやネットワーク越しの受け渡し方法などを規格化したもの。
デジタル化したことで複数の画像を繋げあわせて別の画像を作り出す(再構成)や解析なども飛躍的に簡単に出来るようになった。再構成手法は色々あるがMPR法(Multi Planer Reconstruction、他断面再構成法)やMIP法(Maximum Intensity Projection、最大値投影法)、ボリュームレンダリングなどが有名。
もともとはヒト(人間)のために作られた規格であるが、動物病院をはじめ、飛行機などの非破壊検査でも使われ始めており、DICOM規格もそれらに対応すべく拡張が続けられている。
DICOM画像の利点と欠点
読影を行うという意味では、高精細モニターが写真フィルムに比べ、画質が大幅に劣ることから敬遠される傾向があった。たとえばレントゲン写真をみるためのシャウカステンは輝度3000~15000カンデラ、写真フィルム自体のコントラストは20000諧調くらいある。現在最高スペックの高精細モニターなどをもってしても一桁性能が違う。
ただDICOM画像は、ウィンドウレベル変換などの写真フィルムとは異なる見方ができ、解析や再構成も容易、可搬性や保管性なども圧倒的に優れているなどの写真フィルムにはない利点も多々ある。
また厚生労働省によるPACS導入補助(画像診断管理加算などの保険点数)が実施されたことで爆発的に普及した。PACS導入によるフィルムレス化をすることで、一時的に莫大な導入コストは掛るものの、保険点数は一気に増えるのに(収入が増える)、写真フィルムのときに問題となっていた薬事法の規定でフィルム捨てられないことによる保管費用(倉庫費用)や現像液の廃棄料(産業廃棄物指定されているので高い)などが掛らなくなる(支出が減る)。
またネットワーク越しに簡単に画像データをやりとりできるため、遠隔医療・遠隔読影も一気に普及の兆しを見せている。ただし学閥・医局の繋がりが強いので、最近流行りの「クラウド」などの商業化という意味では、そこまで一般化はしていないし、そこまでたどり着くには何十年もかかると思われる。
短期的な出費は増えるが長期的には儲かるということで多くの大学・医大、病院が導入した。一方で診療所などの小規模な施設では未だに写真フィルムが全盛である。そもそも診療所にはPACSメーカーの営業すら来ないという。これはPACSの利益率の問題で、5年間保守するという前提では消耗品である写真フィルムに比べPACSの価格が非常に安く(利益率が悪いため)、診療所向けの小規模システムでは交通費すら捻出できないためであると言われている。
電子カルテやレセコンなどとの相互接続方法の標準化も検討されているが、DICOM関連団体が必死に活動しても、電子カルテ業界は腰が重いらしく、とくに動きはない。
日本によけるDICOM関連製品の保証期間は一般的に5年。薬事法での耐用年数が最大5年なので5年。パソコンはせいぜい1~2年保証なので、5年以内に3回程度壊れる前提で見積もり出させることが重要。大きい病院の場合、トラブルは担当者の責任になるので、擦り付ける業者が必要。業者も擦り付けられる前提の価格を提示するのが普通である。小さい診療所の場合は運用保守を自分でやるのもいい。それしか選択肢はないともいう。
歴史
DICOMの正式な規格名は「DICOM 3.0」である。
20世紀
20世紀の医用画像業界は大手モダリティメーカーによる支配下にあった。大手モダリティーメーカーによる独自規格が乱立し、メーカー間どころか、自社システム間ですら他部署が作ったので互換性がないという状況で、何かしらのシステムを導入するたびに大規模な相互接続システムの開発が行われていた。
ここ最近の無名フリーソフトにも遙かに劣る今では考えられないほどショボいスタンドアローンの医用画像ビューアですら1台1億円を越え、そのビューアで見るためにモダリティ機器からフロッピーディスクにデータを書き出すシステムも特注開発で1モダリティあたり数千万円という恐ろしい世界が出来上がっていた。
メーカーにしてみれば、それはユーザーの囲い込みであり、一度導入されてしまえば他社への乗り換えは事実上不可能、かつ何かしらを導入するたびに大規模な連携システムの開発が行われ、莫大な金が動く非常に儲かる商売であり、当然その利権を手放そうとはせず、その混沌は日々加速していった。
革命前夜
その混沌とした医用画像業界に終止符を打つべく、米国放射線学会 (ACR) が主導し、1981年から医用画像フォーマットの標準化を目指す医用画像規格の開発が始められた。
ただ、ACRは放射線科医を中心とする利用者側の団体であり、単独で発表したところで、利権に塗れた世界中のメーカーの連合などに潰されてしまうのは目に見えていた。
そこでACRは北米電子機器工業会 (NEMA)の助けを借り、ACR-NEMA 1.0を1985年に発表、続けてACR-NEMA 2.0を1988年発表した。
この時点では世界が動くことはなかったが、生き残った。
DICOM 3.0
その後、1992年の北米放射線学会でDICOM3.0を大々的に発表したのを切っ掛けに一気に流れが変わった。この時点でも大手モダリティメーカーを動かすことは出来なかったが、その存在が一気に世界中の医療従事者に知られることとなった。欧州を中心としたフリーソフトOsirisの登場や、日本におけるJ-MAC SYSTEMの登場と低価格市場の開拓など、大きな波が生まれようとしていた。
この際、ACR-NEMA 2.0から仕様が劇的に大規模化したことを受け、ACR-NEMA 3.0からDICOM 3.0 (1993年)と名称変更された。また、併せて新たにDICOM Standards Committeeという団体が設立され、規格制定および追加・変更はそちらに移管された。
なお、1993年のDICOM 3.0の制定から規格変更が行われていないわけではなく、以降はDICOM 3.0 2009などと改訂年度が末尾に付くようになった。改訂に際しては「廃止」と「追加」のみが行われており、「変更」は行われていない。このため、DICOM規格の改定が行われても、既存システムに影響が出ることはなく、その時点での適合性宣言書 (コンフォーマンス・ステートメント)の改訂を必要としない。ただし、希に例外的な改変があるので注意が必要である。
世界標準
本当の意味でDICOMが世界を動かしたのは2003年3月23日の出来事である。
2003年3月23日、米国政府は以下のような発表を行った。
この命令は即日発効である。 すべての連邦機関は次の規格を採用しなければならない。 Digital Imaging and COmmunication in Medicine、DICOM。 これは医療に関わるデジタル画像と診断情報を、さまざまなメーカーのデバイスや、 医療スタッフの使うワークステーションから検索および取得を可能にするものである。[1]
世界最大の市場である米国で商売したければ、必ずDICOMに準拠しろという命令が発効されたのである。 大手モダリティーメーカーも動かないわけには行かなくなった。
あとはご存じの通り。
問題点
初期のDICOM規格ではOSI参照モデルに準拠した製品を想定し、IEEE 1284(通称セントロニクス、パラレル・プリンタ端子として有名)やRS-232Cによる2点間通信を筆頭に、コンピュータ創世記に考案された多種多様な通信方式をサポートできるようになっていた(現在はTCP/IPを残し、他は全て廃止された)。
その一方で、世間一般ではOSI参照モデルではなく、インターネットやイントラネットで用いられているDARPAモデルに準拠した製品が普及してしまった。
このためDICOMでは追加仕様としてTCP/IPサポートが追加されたのだが、その際にTCP/IP上でOSI参照モデルをシミュレートするという手法を採用した。これにより既存のシステムはTCP/IPの単純な処理だけを実装するだけで対応できるという利点もあった。その一方で、純粋なDARPAモデル準拠製品ではネットワークカードなどのハードウェア上で超高速に処理されるパケットの並び替えや再送処理などが全てソフトウェアによって行われることとなり、CPU負荷が高く通信速度も出ないなどという問題を抱えることになった。
ただ、このような幅広い間口を用意したことで普及を促進したのも事実である。現在はパソコンを中心としたコンピュータの想像を絶する進化と、医療機器の進化の遅さも相まって、いずれも問題にならないレベルに達している。唯一の残された問題点は、ニッチな市場性と、新規参入の難しさくらいである。
内包データ形式
DICOMは医用画像向けの規格であり、一般的にはCT等から発生する生データや、それらをランレングス圧縮や、JPEG、JPEG2000といったで圧縮形式で画像データが内包されている。
DICOM規格で規定しているデータ種別には、RFC2557(MHTML)およびXMLによるプレーン・テキスト形式が存在し、それらの形式をもちいてカプセル化を行えば(データ変換しておけば)、事実上どんなデータでも内包できる。ただし、そのような実装を行っているソフトは非常に稀であり、心電図の心音を音声ファイルとして格納している例が確認されている程度である。
関連用語
Category:DICOMを参照。
詳細
DICOM関連ソフトウェア
- CTN - RSNAおよびNEMA公式のC言語で開発されたオープンソースのDICOMライブラリ
- DCMTK - C++で開発されたオープンソースの高機能DICOMライブラリおよびツールキット
- OsiriX - オープンソースの高機能DICOMビューアー(簡易的なDICOMサーバー機能もある)
関連項目
- 医用画像システム (PACS)
- 放射線科情報システム (RIS)