ZMapp
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ZMapp(読み:じーまっぷ)とは、3種類のヒト化モノクローナル抗体の抗体カクテルを、遺伝子組換えによりタバコ(植物)に組み込んで育成し、そのタバコの葉から抽出して作られた抗エボラウイルス薬である[1][2][3]。
概要[編集 | ソースを編集]
2014年現在、サルに対する非臨床試験の段階にあるエボラ出血熱に対する未承認薬である。
この薬は社員わずか9人のマップ・バイオファーマシューティカル社が開発中のものである。同社は米国政府およびカナダの公衆衛生局から「生物兵器などからの防護・防衛」の名目で資金援助を受けている。なお、同社はZMappで一躍世界的に注目を浴びたものの、まだ承認もされていないし、そもそも量産する設備がないとしている。
基本的にはタバコであるため、生産は大手タバコ会社のレイノルズ・アメリカン社の子会社であるケンタッキー・バイオプロセッシング社が行っている。
生産[編集 | ソースを編集]
- マウスにエボラウイルスの抗原を注射して抗体を作り、脾臓から抗体の製造元であるB細胞を採取する。
- マウスのB細胞の大部分をヒトのタンパク質に置き換える。
- B細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ)を融合させたもの(ハイブリドーマ)を作る。
- ハイブリドーマをファーミングと呼ばれる手法でタバコの葉の遺伝子に組み込み育成する。
ヒトへの使用[編集 | ソースを編集]
米国キリスト教系支援団体サマリタンズ・パースがZMappを非公式に調達し、2014年8月4日に2人のエボラ出血熱患者に同意のうえ投与するという人体実験的な治療が行われた。その結果、2人とも症状が改善されるポジティブな結果を示した[6]。
一方、西アフリカ・リベリアでエボラウイルスに感染し、帰国してマドリードにあるカルロス3世病院でZMappによる治療を受けていたスペイン人宣教師は死亡している[7]。
脚注[編集 | ソースを編集]
- ↑ (2011). “Enhanced potency of a fucose-free monoclonal antibody being developed as an Ebola virus immunoprotectant”. PNAS. doi:10.1073/pnas.1108360108.
- ↑ 2.0 2.1 (2012). “Delayed treatment of Ebola virus infection with plant-derived monoclonal antibodies provides protection in rhesus macaques”. PNAS. doi:10.1073/pnas.1213709109.
- ↑ http://www.popsci.com/article/science/zmapp-experimental-ebola-treatment-explained
- ↑ Giritch A et al. Rapid high-yield expression of full-size IgG antibodies in plants coinfected with noncompeting viral vectors. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Oct 3;103(40):14701-6. Epub 2006 Sep 14. PMID 16973752
- ↑ “In Ebola Outbreak, Who Should Get Experimental Drug?”. The New York Times (2014年8月8日). 2014年8月8日閲覧。
- ↑ "Mystery Ebola virus serum manufactured by San Diego firm". Los Angeles Times. August 4, 2014.
- ↑ エボラ感染のスペイン人宣教師が死亡、帰国し実験薬で治療 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News