OsiriX/OsiriXの種類
OsiriXには代表的なオープンソース版始め、iPhone/iPad版や、FDA認証をクリアしたプロプライエタリなものなど、様々なバージョンが存在する。
現行[編集 | ソースを編集]
OsiriX (32bit)[編集 | ソースを編集]
一般的にOsiriXと言えば32bitバージョンのことである。
Mac OS X専用のアプリケーションでオープンソースかつ完全なフリーソフトとして提供されている。Windowsでは動かない。オープンソースゆえに過去にはWindowsへの移植を試みる者が幾度となく現れたが壮大なソースコードの前に撃沈しており、いまだに成功者は現れていない。
一般的にこの手のフリーソフトとして提供されるものは機能限定の体験的な位置づけで全然使い物にならないことが多いが、OsiriXは後述する64bitバージョンなどと比べても基本的な機能に違いはなく、ほぼフル機能が使える。
ただし、32bitアプリケーションのメモリ上限である4GB(実際にはシステムの都合でその70~80%、約3.5GBが上限)であるため、Cardiac CTやCardiac CTAをはじめとしたボリュームレンダリング4Dなどは機能的には搭載されているので一応動くが、データがあまりに大きいと動かないこともある(ほぼ動かない)。そもそも320列クラスのADCTを買えるお金があるなら後述する64bitバージョンくらい買えという話である。
OsiriX (64bit)[編集 | ソースを編集]
OsiriX 64bitバージョンは、OsiriX 32bitバージョンにパッチを当てる形で提供されている商用バージョンである。買切りではなく年間サブスクリプション(年間ライセンス)の形式で販売されている。
32bitバージョンをダウンロードおよびインストールした後、別途販売されている64bit化パッチを当てることになる。当然Mac OS Xでしか動かない。
こちらはソースコードの一部は公開されているが、64bit化にあたりMacOSX標準では32bitのままな部分を商用ライブラリで補っている関係上、その部分は非公開となっている。
32bitバージョンでは厳しかったメモリ制限がなくなった関係で、スライス数が数千枚にもおよぶCardiac CTのボリュームレンダリング4Dなどもサクサクである。また64bit化の恩恵で、メモリ帯域および64bit化されたCPUレジスタをフル活用できるため、32bit版で問題なかった機能もより高速に動作する。とくに64ビット化で拡張されたCPUレジスタをフル活用できる関係で力業で途轍もない計算量を必要とするボリュームレンダリングでは顕著に差がでる。
64bitバージョンの収益で公式サイトのサーバー代などを賄っており、価格的にも1本数万円程度と他の商用DICOMビューアと比べても0の数が2つ3つ違うという破格なものであり、どちらかというと寄付金的な意味合いが強い。
OsiriX MD[編集 | ソースを編集]
OsiriX MDはOsiriX 64bitバージョンをベースに米国FDA認証(日本で言う薬事認証)を取得し医療機器として認められたバージョンである。
FDA認証を受けている関係上、バージョンアップには万全を期さなければならず若干の遅れを伴う。分厚い英語マニュアルが付属する。
64bitバージョンがベースであるため当然商用である。FDA認証を取るのもタダではないというのもあると思う。思うだけだが。
なおOsiriX MDはPixmeo社の商用製品であり、本来であれば後述する「その他のバージョン」に分類されるセカンドパーティー企業製であるが、Pixmeo社はOsiriX財団のトップが経営する会社であるため特別枠で公式パッケージ扱いとなっている。
OsiriX HD[編集 | ソースを編集]
OsiriX HDはOsiriX Mobileの後続となるiPhoneに加えiPadにも完全対応したバージョンである。 むしろiPad向けにガチガチに最適化されている。
基本的に2Dのみでボリュームレンダリング等には対応していない。前述の各種Mac版OsiriXでプリレンダリングした画像を閲覧することはできる。
OsiriX Mobileではデータ転送方法がDICOM通信のみであったが、OsiriX HDではUSBケーブルでiPhone/iPadとPCを繋いでデータ転送できるようになった。DICOM通信によるデータ転送は、iPhone/iPadからQ/R(クエリ&リトリーブ)する方法と、iPhone/iPadを一時的なDICOMサーバーに見立ててDICOMデータをストア(C-STORE)し送り込む2パターンの方法がある。個人的には操作性の関係で、Macを1台買って、OsiriX32bit版あたりを入れ、そこから2番目のストアする方法で送り込むのが手軽でよいと思う。それでも面倒だというのであれば、ちょっとお金をかけて既に導入しているPACS、DICOMサーバーの提供メーカーあたりにオリジナルで自動転送ソフトを作ってもらうのも手かもしれない。
ソースコードはAppStoreがオープンソースを禁止している関係上、非公開となっている。
その他[編集 | ソースを編集]
OsiriX Mobile[編集 | ソースを編集]
かつて存在したiPhone用の商用バージョンである。 OsiriX MobileはiPhoneのみ対応しており、iPadでは一応動くがiPhoneアプリ扱いで画面が4倍拡大表示であるため汚い。
現在は廃止され購入できない。
Osiris[編集 | ソースを編集]
OsirisはOsiriXと名前を変える前、1990年代前半に登場した、とてつもなく古いバージョンである。 旧Macintosh(日本でいう漢字Talk)に加え、Windows版も提供されていた。 フリーソフトであるが、この当時はまだオープンソースではなかった。当時としては珍しかったMPRなどにも対応しており、数あるDICOMビューアの中でも微妙に高性能であった。
もう完全に歴史的遺産だが、今なおダウンロード可能であるからビックリ。
その他のバージョン[編集 | ソースを編集]
OsiriX財団を構成するセカンドパーティー企業が特定の医療機関向けに特注開発しているバージョンが存在する。
理想のシステムを作ってもらえるというお金のある医療機関向けの夢のようなサービスであり値段は要望量に比例する。 特注なので当然プライスレス。
なおセカンドパーティー企業が独自に受注しても、その売上の一定割合を財団に納めることになっているらしい。俗に言う上納金である。
OsiriXをベースにRISやオーダーリングシステム、レポーティングシステムなどと一体化し、フルPACS化したものなどが確認されているが、基本的に自動車で言えば一応市販車をベースにしているという事になっているレーシング仕様のGTカーばりに原形を留めていない一品物なので、あまり見かけることはないし、見かけても原型を留めていないものは「これOsiriXカスタム版だよ」と言われないとOsiriXであると気づかないこともあるという。