無針注射器

無針注射器（読み：むしんちゅうしゃき）とは、注射針のない注射器のことである。

世界初とされる製品名から通称「ハイジェッター」とも呼ばれる。かつてあらゆる家庭用ゲーム機が総じて「ファミコン」と呼ばれたのと似たような感じである。

概要

無心注射器はその名の通り注射針のない注射器で、薬液を高圧で発射することで、薬液が生体の経皮などを貫通することで注射を行う注射器のことである。大雑把に言えば、一般的な注射器の注射針よりも細い穴から、バネや油圧などの力で薬液を一気に噴射することで、薬液自体を針のようにとがらせて生体に撃ち込む水鉄砲である。この原理から鉄砲注射などとも呼ばれる。

注射針を使用しないので以下のような利点がある。

• 針が刺さる時の痛みや恐怖感、嫌悪感を解消することができる

  「痛い」と感じるより先に一瞬で投与が完了する。

• 逆流がないので感染症の予防になる

  一般的な注射器では、注射針だけを交換し注射筒を交換しない場合に、前の患者からの病原体の逆流による感染症が僅かながら懸念される。

ただし、これは理想論であり、とくに感染症に予防は期待外れで、1日に1回程度の消毒しか行われず、無心注射器の噴射口が不衛生なまま使い続けられ、そこからウイルスなどに感染する事件が多発した。。これは技術的な問題というよりも、販売業者が消毒不要などうたい、販売したことによる運用上の問題という側面が大きい。

また、無針注射器は1970年代の日本において小学校および中学校の予防接種で用いられたが、一般的な注射の手作業と異なり、力加減を制御できないため、皮下注射のはずが神経線維まで貫き損傷させる事故が多発したことから1987年8月に厚生省（現：厚生労働省）の撤収勧告が出され、1994年に廃止と使用が取りやめられた。同様に2011年10月には米国FDAもインフルエンザワクチンの投与に際しハイジェッターを使わないよう勧告している。

メーカーも馬鹿ではないので糖尿病のインスリンや歯科の麻酔など向けに小型かつ弱めで皮下くらいまでしか届かないことで安全性を高めた新製品を出していたりする。新製品でも1回使用ごとに洗浄、消毒は必須である。

関連項目

• 注射器
• 注射