済生会
済生会(さいせいかい、Social Welfare Organization Saiseikai Imperial Gift Foundation, Inc.)とは、明治天皇が設立した日本の医療機関(公的医療機関)、慈善事業団体である。
済生会は青森・秋田・岐阜・徳島・高知・沖縄の6県を除く41都道府県で、病院や診療所などの医療機関、老人や障害者などの福祉施設など、全国に約370施設の開設・運営を行っている。
済生勅語[編集 | ソースを編集]
原文[編集 | ソースを編集]
朕惟フニ世局ノ大勢ニ随ヒ國運ノ伸張ヲ要スルコト方ニ急ニシテ 經濟ノ状況漸ニ革マリ人心動モスレハ其ノ歸向ヲ謬ラムトス政ヲ為ス者宜ク深ク此ニ鑒ミ倍々憂勤シテ業ヲ勸メ敎ヲ敦クシ以テ健全ノ發達ヲ遂ケシムヘシ若夫レ無告ノ窮民ニシテ醫藥給セス天壽ヲ終フルコト能ハサルハ朕カ最軫念シテ措カサル所ナリ乃チ施藥救療以テ濟生ノ道ヲ弘メムトス茲ニ内帑ノ金ヲ出タシ其ノ資ニ充テシム卿克ク朕カ意ヲ體シ宜キニ随ヒ之ヲ措置シ永ク衆庶ヲシテ頼ル所アラシメムコトヲ期セヨ
現代語[編集 | ソースを編集]
私が思うに、世界の大勢に応じて国運の発展を急ぐのはよいが、我が国の経済の状況は大きく変化し、そのため国民の中には方向をあやまる者もある。 政治にあずかる者は、人心の動揺を十分に考慮し、対策を講じ、国民生活の健全な発達を遂げさせるべきであろう。
また、もし国民の中に生活に困窮し、医療を求めることもできず、天寿を全うできない者があるとすれば、それは私が最も心を痛めるところである。
これらの人たちに薬を与え、医療を施し、生命を救う──済生の道を広めたいと思う。
その資金として、ここに手元金を提供するが、総理大臣は私の意をくみとって措置し、永くこれを国民が活用できるよう希望するものである。
正式名称[編集 | ソースを編集]
正式名称は、社会福祉法人恩賜財団済生会(おんしざいだんさいせいかい)である。名称のうち「恩賜」と「財団」は1行に書かず、済生会よりも小さい文字で2行に組み文字にすることとなっている。これは実際に設立業務にあたった政府関係者が「恩賜財団済生会」と1行で書いたところ、それを見た明治天皇が「国民と一緒になって“済生事業”を行うのだから皇室だけが先行しているような印象を与える“恩賜財団”は適当でない」とおっしゃられ却下、その後の駆け引きの結果、「恩賜」と「財団」を2行にすることで明治天皇よりお許しをいただいたとされている。
歴史[編集 | ソースを編集]
2011年に100周年を向かえ、2011年5月30日に東京都渋谷区の明治神宮会館で100周年記念式典が開催された。式典には天皇、皇后両陛下が出席され、皇陛下のお祝いの言葉の中で東日本大震災に触れ「済生会の救援活動も大きな役割を担っていたことに感謝しています」と述べられた。