垢
垢(読み:あか、英語:dirt, grime)とは、角化した表皮細胞が汗や皮脂、その他ゴミとともに皮膚表面にたまったもののことである。
英語[編集 | ソースを編集]
垢は英語で「dirt」と言う。dirtは不潔を意味する「dirty」の語源でもある。なお、ダーティーハリーは名作映画である。中々落ちないシャツの襟などに垢が付着した黒ずみはdirtではなく「grime」と呼ばれる。
概要[編集 | ソースを編集]
ヒトの表皮細胞は基底部で幹細胞の細胞分裂によって次々に新生し、これが表層に押し出されるにつれ、細胞骨格の一要素である中間径フィラメントの上皮型であるタンパク質を主成分とするケラチンが細胞内に充填していき、最終的にほとんどケラチンからなる硬い物質(死細胞)となる。
これが角質であり、陸上脊椎動物の体表はこの角質で保護され、内部の細胞を乾燥や紫外線などから防御している。角質は死細胞で構成されるため、生きた細胞の代謝は行われない。その代わり次々に下層で新生される角質に置き換わって一定の状態を維持している。このとき古い角質は垢となって剥がれ落ちる。この生まれてから剥がれ落ちるまでの周期は約28日と言われており、ターンオーバーと呼ばれる。
なお、うまく剥がれ落ちずに蓄積されてしまう現象を腫瘤(読み:しゅりゅう、腫瘍ではない)という。
垢はこの角化する多層上皮を持つ脊椎動物の表皮の古い角質に皮脂腺分泌物などが混じり合ったものである。角質にはそれ自体による物理的な防御機能に加え、皮脂腺分泌物などを体表に保持する機能があり、この角質に保持された皮脂腺分泌物や常在細菌などの連携によって病原体を排除している。なお、角質は皮脂腺分泌物のみならず、生活環境中の埃や土などを巻き込み保持される。これが原因で長期間入浴をせずにいると徐々に皮膚が黒ずんでくる。
におい[編集 | ソースを編集]
垢を構成する角質や皮脂腺分泌物は本来は無臭であるが、皮膚表面の常在細菌によって分泌物が分解されることによって臭いを発するようになる。垢はこうした代謝産物を保持する機能があるため、入浴などによる皮膚の洗浄を長期間行わないと、その個人特有の体臭は次第に強くなる傾向にある。
健康[編集 | ソースを編集]
垢は汚いという社会通念があるが、垢は体表を保護する機能を担っており、垢の落としすぎはこの保護層を破壊してしまう。また、まだ生きている皮膚をも侵食して破壊してしまう恐れがある。
また、垢に保持された皮脂腺分泌物などが常在細菌によって代謝された産物は、皮膚を弱酸性に保ち、常在細菌叢そのものと複合的に外部からの病原体を排除している。このため垢を一定以上落としてしまうと皮膚の健康上、あまり望ましいものではない。
逆に長い時間、体を洗わないと皮膚表面の垢の体積は次第に厚くなる。あまり垢が堆積すると皮膚呼吸に影響をきたし、体内の水分調節が難しくなる側面があるため、垢が堆積するまで放置するのは健康上あまり好ましくないと言う話もあるが、ヒトの皮膚呼吸の比重はさほど大きくはなく医学上正確な話とはいえないがゼロではない。
ようするに何事も極端は良くないという話である。風呂に入らないのも、垢擦りしすぎるのも良くない。重要なのは「適度」である。とくに女性に多いのが顔の洗いすぎで皮膚がボロボロのシミだらけになるというパターンである。