ニュース:脊髄損傷を幹細胞で治療。国内初の臨床試験を札医大で実施。被験者募集
交通事故などで脊髄が傷つき、体を動かせなくなった患者に、患者自身の骨髄の幹細胞を採取、培養増殖したものを体内に戻し、傷ついた神経を再生させようという国内初の臨床試験を始めると、札幌医科大学(札医大)の山下敏彦教授、本望修両教授らの研究グループが10日会見し、発表した。 [1]
概要[編集 | ソースを編集]
交通事故などで脊髄が傷つくと、首から下の体を動かせなくなるなど重い後遺症が残る。運動機能の喪失や感覚まひを引き起こす脊髄損傷は、国内で年間5000人程度の患者が新たに発生しているが、今のところ有効な治療法がない。
この治療によって神経が再生できれば、手足を動かせるようになる可能性がある。すでにマウスを使った基礎研究では治療効果が持続しているという。
今回の臨床試験では、
- 脊髄損傷から2週間以内の患者から骨髄液を数十ccほど採取、
- 骨髄の中から間葉系幹細胞と呼ばれる細胞を取り出し、
- 同大内の施設で大量に培養・増殖することで細胞製剤を作り、
- 再び患者の腕の血管に注射(静脈に点滴で投与)することで脊髄の傷ついた部分に移植するという。
患者自身の細胞を使うため拒絶反応が起きにくく、免疫も維持され、静脈から入れれば体への負担が少ないなどの利点がある。
今回の治験は脊髄損傷から14日以内に肝細胞を採取し、最長54日以内に患者に投与する。なお、脊髄損傷から時間がたった患者への応用について本望教授は「慎重に検討したい」と話した。山下教授は「脊髄損傷は事実上治療法がないのが現状なので、効果がみられれば多くの患者にとって福音になると思う」と話す。
なお、札医大では脳梗塞患者の後遺症を改善するため、間葉系幹細胞を使った同様の治験を昨年から始めている。
参加[編集 | ソースを編集]
30人を目標に同日から被験者を募集し、2016年10月までの実施を目指す。
治験の参加条件は以下のとおり
詳細は同大まで
本件に関する問い合わせ先[編集 | ソースを編集]
本件に関する取材申し込みにつきましては、大学広報にご連絡をお願いいたします。
- 札幌医科大学 広報 011-611-2111 内線2165)
主治医用のホームページ
また、試験内容については、社団法人日本医師会治験促進センター(JMACCT)の臨床試験登録システムに登録済です。