間葉系幹細胞
間葉系幹細胞(読み:かんようけいかんさいぼう、英語: mesenchymal stem cell)とは、人間の骨髄液や脂肪組織に含まれ、骨や筋肉、[内臓]、神経などの細胞になる能力を持つ細胞のことである。
概要[編集 | ソースを編集]
間葉系幹細胞は、骨芽細胞や脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞などの間葉系に属する細胞への分化能をもつとされる細胞の総称で、間葉系組織のあるすべての組織に存在すると考えられており、骨や筋肉、血管、神経の再構築などの再生医療への応用が期待されている。ちなみにマウスを使った実験では脱毛症(通称ハゲ)の治療にも成功している。[1]
間葉系幹細胞は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)と並び、再生医療への応用研究が進む体性幹細胞の一つ。生命倫理的に反対する者の多いES細胞や、移植するとがんになる可能性があるiPS細胞に比べ、安全性が高いとされる。
とくに患者自身の骨髄液から培養したものを使うと拒絶反応も極めて少ないとされている。また、免疫もそのまま自身のものが維持されるため、治療中の免疫力の低下なども防げるとされている。この点は再生医療に限ったものではなく、患者自身の皮膚を使った人工透析向けの人工血管などにも応用されつつある。
間葉系幹細胞は、骨髄間質細胞が分化誘導されることにより、間葉系に属する細胞(骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞など)になる。
最近では、さらにグリア細胞(外胚葉由来)や肝臓(内胚葉由来)など、中胚葉性でない組織にまで分化するという報告もある。
問題点[編集 | ソースを編集]
主な間葉系幹細胞[編集 | ソースを編集]
骨髄間葉系幹細胞[編集 | ソースを編集]
間葉系組織のなかでも骨髄間葉系幹細胞は、骨髄穿刺で容易に採取でき、培養技術も確立されている。
脂肪由来間葉系幹細胞[編集 | ソースを編集]
細胞バンク[編集 | ソースを編集]
国立成育医療センターによって樹立されたヒト間葉系幹細胞が細胞バンクから利用できる。細胞バンクには、臍帯血、骨髄、胎盤などに由来し、正常細胞に加えて、不死化細胞も登録されている。[2]
関連項目[編集 | ソースを編集]
参考文献[編集 | ソースを編集]
- 槌谷宏平ほか 「再生医学・医療のフロントライン『間葉系幹細胞』」 医学書院 週刊医学界新聞 第2523号 2003年2月17日。
- 梅澤明弘ほか 「骨髄間質を用いた臓器再生と細胞治療」
- 「ヒト間葉系幹細胞」 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団。