核磁気共鳴断層撮影

提供:メディカルウェア
2013年12月9日 (月) 17:16時点における153.135.44.126 (トーク)による版 (→‎主な撮影法)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

核磁気共鳴断層撮影 (英 Magnetic Resonance Imaging, MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体の内部の情報を画像にする方法である。DICOM規格によるモダリティコードは「MR」であり、医療現場においてもMRIよりMRという呼称の方が定着している。

なお製薬会社の営業担当者を意味するメディカル・リプレゼンタティブ(通称MR)とは一切関係ない。 また麻疹・風疹混合ワクチンMRワクチン)とも一切関係ない。

概要[編集 | ソースを編集]

核磁気共鳴断層撮影装置(MRI装置)は、薬事法において特定保守管理医療機器と定められている。

MRI装置は磁気超伝導電磁石)と電波RFパルス)を用いる検査機器であり、放射線とは全く無縁であり放射線機器ではないが、主に放射線科で取り扱われるため名目上は医用放射線機器とされる。

MRIではの内部や脊髄腹部血管四肢など人体のあらゆる部分を任意の角度から撮影し断層画像を得ることが可能である。CTスキャンでは不得手な部分の断面画像や三次元的な情報の撮影において優れている。なお、MRCTはどちらが優れているかを論ずるものではなく、それぞれ適材適所で使い分けるものである。

MRIのマイナス面は、超伝導電磁石を冷却するために液体ヘリウムを用いた冷却設備などが必要であり、設備投資や運用にかかるコストが高く、どの医療機関でも使える状況にはない。また測定時の所要時間が10分から1時間と長い。その特性上、石灰化した部分の詳細画像は必ずしも上手く得られない。

MRIと同様に磁場を用いるものとしてピップ・エレキバンがあるが、その強さは1000ガウス前後であるのに対して、MRIではその10~30倍前後の10,000~30,000ガウス近辺の非常に強い磁場が発生する。なお、MRIでよく使われる磁気の強さの単位はガウスではなくテスラ(T)が主に用いられ(1テスラは10000ガウス)に相当し、その強度(最大出力)はMRIの製品名の一部に1.5Tや3Tなどと書かれている事が多い。

安全性[編集 | ソースを編集]

放射線機器ではないので被曝の心配などまったく無いが、強烈な磁気および電波による人体の影響は未知数であるとされている。

なお、カタログを見る限り、そのような未知数な事項よりも、狭いMRI装置の中に入ることによる閉塞感と、そこに追い打ちをかけるカコンカコンとうるさいMRI装置の動作音による恐怖感を少しでも抑制しようとモダリティメーカー各社は努力しているようである。

強烈な磁場(電磁石)を用いるため、検査前の安全確認として、身につけている磁性体を検チェックする必要がある。たとえばペースメーカーを装着している人は磁場の影響で正常動作をしなくなる恐れがあるため、検査は出来ない。

MRIの原理[編集 | ソースを編集]

MRIの原理の概要について説明する。詳細はモダリティメーカーや機種によって微妙に異なるので、各機種の資料を見ること。

(1) 体内の水素原子核は、自然な状態では、それぞれバラバラな方向を向いている。

(2) そこへ強烈な磁場(静磁場、せいじば)を与えると、水素原子核は一斉に同一方向を向く。

(3) そこへ特定の周波数の電波(RFパルス)を当てると、水素原子核は一斉に一定角度に傾く。 その運動の周波数はラーモア周波数と言われ、各原子核に固有の周波数であり、かけた磁場の強さに比例する。通常のMR撮像では、8.5~128MHzほどである。これは電磁波で言えばラジオ波の範囲にあたる。

(4) この電波照射をやめると、水素原子核は(2)の状態(方向、角度)に戻ろうとするが、その際に微弱な電波信号を発する。また、この(2)の状態に戻るまでの時間が体組織によって異なる(微弱な電波信号を発してる時間が違う)。この微弱な電波を撮影部位に取り付けたRFコイルで受信する。

(5) (3)および(4)の状態に、微弱な磁場(傾斜磁場、けいしゃじば)を断続的に当てて取得した位置情報を加味することで、3次元的な画像データを取得することができる。

主なMRIの撮影法[編集 | ソースを編集]

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]