バイオテクノロジー
バイオテクノロジー(英語:biotechnology)とは、生命現象を分子レベルで解明し、それにより様々な生物のしくみを理解したうえで、それらの有用な利用法をみいだし、産業化することでよりより社会を実現しようという学問である。
語源
バイオテクノロジーの語源は、バイオロジー(生物学)とテクノロジー(工学)を組み合わせたものであるとされ、日本語では主として生物工学と呼ばれる。また類似する分野としては生物のしくみを「模倣」したものを実用化しよう「バイオニクス(生体工学)」というものがある。
概要
起源
バイオテクノロジーのはじまりは、はるか太古の時代に人類が他の野獣を飼い慣らした行為であり、また野草を栽培し人類に有用な品種を選抜した行為であると言われる。いわゆる原始農耕のおこりこそがバイオテクノロジーの基点であるとされ、考古学によるとそれは約2万年前も出来事であるという。
その後、バイオテクノロジーは世界各地で発展し、さまざまな醸造技術や発酵技術が開発され、エジプトやバビロニアを中心にワインやビールなどが製造され、中央アジアを中心にチーズやバターなどが製造され、東アジアを中心に納豆や日本酒などが製造されるようになったという。
近代
世間一般に認知されている近代的ないわゆるバイオテクノロジーは、1953年にJ.D.ワトソンとF.H.C.クリックによるDNAの二重螺旋構造の提唱が基点となり、そこから著しい発展を遂げることとなる。なおこの時点では研究者たちにとっては熱狂的な出来事であったが、世間一般からは「だから何?」という程度の認知度であったことは言うまでもない事実である。
そして1973年にS.N.コーエンとH.W.ボイヤーによる人工的な遺伝子組み換え基本技術が発表され、バイオテクノロジーに「遺伝子工学」という新たな分野が加わったことで、それまで世間一般からはおいしいお酒や納豆の作り方を研究をしていると思われていた学問が一躍脚光を浴びることとなった。
その後もクローン技術や、昨今世間を騒がせているiPS細胞などの万能細胞などを用いた再生医学など、バイオテクノロジーの進歩は止まることなく飛躍的なスピードで進歩しつづけており、それらの技術は農学、薬学、医学、歯学、獣医学、理学、工学、衛生、福祉、栄養学、看護、介護などの様々な学問と密接に関連し、極めて強い影響を与えている。
年表
関連項目
参考文献
- バイオテクノロジーの流れ 過去から未来へ 改訂第2版 ISBN 4-87326-382-4