遠隔読影
遠隔読影(えんかくどくえい)とは、読影業務を外部に委託することである。オサレなビジネスマン風に格好よくいうとアウトソーシングである。
概要
遠隔読影とはその名の通り遠隔地で読影を行うというものである。
読影医の不足により、小中規模の医療機関では常勤の医師を確保することが非常に難しく、立派な撮影機材はあるにも関わらず読影を行える者がいないという事態に陥っていることが多い。
それこで近隣の大学病院の放射線科などに撮影した医用画像を送り、そこで画像診断を行ってもらい、その結果である読影レポートを受け取るというものである。
撮影しただけでは画像診断管理加算を得られないので必須になりつつある。なお、画像診断管理加算は、診療する施設に関して施設基準が存在し読影を実施しているだけでは取得できない。
送付手段
郵送
古くは医用画像を郵送で送り、その診断結果を記載した読影レポートを郵送で送り返すという手法が用いられていた。 今でもこの手法を用いていることもあるし、急ぎでない場合は安定した手法であると言える。
運送会社と定期集荷の契約をする程度で遠隔読影をはじめることができるのが最大の特徴である。
通信ネットワーク
近年ではインターネットが普及し、またPACSも普及しつつあることで、PACSをベースとした遠隔読影システムも登場し、ネットワーク越しで遠隔読影が行えるようになりつつある。
これにより郵送では送付に時間がかかっていたものが、通信ネットワークを利用することで即座に転送することができるようになった。
ただし、遠隔読影システムの導入には開発・設置・運用など人手も機材も発生するため当然のようにコストがかかる。独立した遠隔読影システムであれば比較的安価で導入でき、初期費用無料をうたうサービスなども登場している。なお初期費用無料のサービスは当然のように1枚あたりの読影料金が高く設定されているので注意する必要がある。一方でより利便性を求め、既存の病院情報システムやPACSとの統合などを行うと、導入コストだけで数百万円・数千万円に達してしまうこともある。
なお、医療の世界では医療機関がインターネット網に繋ぐこと自体がセキュリティ的に御法度であるという風潮が今なお強い。そこで国公立の大学病院であればほぼ100%導入されており、平時は稼働していない公的機関を繋ぐ災害時用の非常用回線に各医療機関が専用線を用いて接続するという方式が主流となっている。なお、この非常回線はネットワーク的には巨大なLANに見え、しかもスカスカなので学内ネットワークよりも高速に通信できることが多く、大学病院内で通信するより快適だったりする。
最近では読影センターや放射線科クリニックなどと呼ばれる民間の遠隔読影会社も増えつつあり、それらでは専用線ではコスト的に見合わないため、強固なVPNなどを使い専用線の代用にしていることも多くなりつつある。