隔離
隔離(読み:かくり、英語:isolation)とは、あるものを他と隔てて離すことである。
概要[編集 | ソースを編集]
医療行為として感染症の防止や精神障害の治療、入院している患者が階段などから転落するなどの危険防止のために隔離が行われることがある。
また、生態学分野において、交配可能な生物が地理的、生態学的な要因によって交配が妨げられる現象を指す。
医療行為としての隔離[編集 | ソースを編集]
医療上、隔離が行われるのは、他の患者に対して感染症を防ぐ場合と、精神障害に対して医療および保護のために行われる場合がある。
日本では旧伝染病予防法において、法定伝染病(11種)、および法令によって定められたその他の感染症(3種)の患者は、専用の隔離病院に収容して感染を防ぐことになっていた。
- 法定伝染病
- コレラ(三類)
- 赤痢(細菌性赤痢:三類)
- 腸チフス(三類)
- パラチフス(三類)
- 痘瘡(一類)
- 発疹チフス(四類)
- 猩紅熱(なし)
- ジフテリア(二類)
- 流行性脳脊髄膜炎(五類)
- ペスト(一類)
- 日本脳炎(四類)
- 指定伝染病
- 急性灰白髄炎(二類)
- ラッサ熱(一類)
- 腸管出血性大腸菌感染症(三類)
隔離は有効な対策であるが、人権意識の高まりから人道的でないということで最近はあまり行われない。 この時代の変化に伴い旧来の「伝染病予防法」「性病予防法」「エイズ予防法」は、「人権尊重」や「最小限度の措置の原則」などが明記された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に一本化されている。
隔離病棟[編集 | ソースを編集]
隔離病棟(かくりびょうとう、英語:isolation ward)は、伝染病が社会に蔓延するのを防止するため、感染症法の定める感染症の患者を収容し、一般病棟等他への感染を抑制するための、感染症法に基づく感染症指定医療機関の特別な病棟である。 隔離病棟の歴史は治療を伴わない隔離するだけの避病院に始まり、病原体の発見により治療を試みる伝染病院に改称され、抗生物質の発見やワクチンの開発による疫病の減少を受けて感染症指定医療機関の隔離病棟となった。
精神科[編集 | ソースを編集]
精神科における隔離は、治療上、静穏な環境で安静を保つ必要がある場合、自殺のおそれがある場合、他人に危害を加えるおそれがある場合、感染症の場合などに行われる。
精神科において隔離室への入室手続きは、精神保健福祉法第36条第3項に基づく場合、第37条に基づく場合、患者本人の申し出による場合の3通りがある。
- 第36条第3項に基づく場合:精神保健指定医の診察により行われ、時間制限はない。
- 第37条に基づく場合:精神保健指定医以外の医師の診察により行われ、12時間までの制限がある。
- 患者本人の申し出による場合:上記の手続きが別に行われない限り、本人の申し出により、自由に退室できる。
なお、隔離室は、保護室と俗称されることがある。
生態学における隔離[編集 | ソースを編集]
ある生物集団が地理的、生態学的要因によって交配が妨げられることが長期間続くことで種分化がおこる。
詳細は「生殖的隔離」を参照。
関連項目[編集 | ソースを編集]
- その他