フラット・パネル・ディテクター
フラット・パネル・ディテクター (FPD、Flat Panel Detector)とは、X線をデジタル信号に変換する装置である。
概要[編集 | ソースを編集]
大雑把に言えばFPDは、X線検出器を横一直線に並べたMDCT(マルチ・ディテクタCT)の応用で、X線検出器を縦横に平面的に並べたものと思ってほぼ間違いない。
なお、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの薄型ディスプレイの総称もFPD (Flat Panel Display、フラット・パネル・ディスプレイ)であるが、医療分野で用いられているFPDとはまったくの別物である。
フラットパネルディテクタ(FPD)に類似するものにイメージング・プレート (IP)というものがある。FPDとIPでは目的こそ同じであるが、デジタル信号に変換するまでの方式が大きく異なる。
IPは昔ながらのレントゲン写真の延長であり、カセッテに装填するのがフィルムかIPかというのが主な違いで、デジタル画像化(現像)は1回撮影するごとにカセッテを取り外してドライイメージャーと呼ばれる機械(スキャナ)に挿入して行う。
一方でFPDはIPに相当する部分がX線の検出器になっており、直接デジタル画像化が可能となっている。このため連続撮影や動画撮影なども可能であり、パネル自体から有線はもとより無線で操作コンソールや検像端末、PACSに送信できるようになっている。ここパソコンの性能向上が目覚ましい最近の製品であることも相まって、撮影時間の短縮には絶大な効果を発揮し、患者の待ち時間にも大きく影響を与えストレスを軽減し、最終的には医療機関の評判にも寄与することであろう。
まるで夢のようなFPDではあるが欠点がないわけでもない。なによりFPDは死ぬほど重たい。最近の機種はかなり軽くなったがそれでも3kgくらいある。体位やサイズを変えるたびにパネルを交換するのは腰が痛くなる作業である。
価格[編集 | ソースを編集]
初物が出たばかりのころは1枚1000万円を超える価格であったが、2015年4月時点ではザックリ1枚600万円程度の機種が主流のようである。
カセッテと異なり、フラットパネルは非常に重いため、立位、座位、臥位で使い分けるのが非常に手間であり、その可搬性の悪さに伴う落下・故障の危険性も高いため、撮影頻度の高い施設での実運用には2枚以上あることが望ましい。そうなると価格も2倍である。
導入費用については若干高いが撮影効率の上昇により数年でペイすると言われている。フィルムなどの消耗品がでるようなものではないので運用費用は壊れたときのための保険料くらいであり、フィルム出しに比べれば総額は安くなることが多い。よって一般撮影の稼働率、回転率を向上させ、検査効率や集患に関して強い意識のある施設であれば導入を検討する価値はあると言える。逆にCRがまったく稼働していない施設では検討する必要性などない。
原理[編集 | ソースを編集]
FPDと一言で言っても複数の方式があり、大きくわけて、X線を直接電気信号に変換する直接変換方式と、いったん光信号に変換した後に電気信号に変換する間接変換方式(シンチレータ方式)がある。
直接変換方式[編集 | ソースを編集]
直接変換方式では、X線をセレン(Se)に代表されるX線検出素子により直接電荷として取得する。
間接変換方式と比べ、特に低線量領域でのX線吸収率が高いため、ピクセルサイズの微細化が可能となり、空間的分解能を向上を期待できる。 一方で感度が問題となり、それによる照射線量の増加が懸念される。
間接変換方式[編集 | ソースを編集]
間接変換方式(シンチレータ方式)では、X線を硫酸化ガドリニウムやヨウ化セシウムなどの蛍光体(シンチレーター,scintillator)で吸収し、そこで発生した光をフォトダイオードで電荷として取得する。
直接方式と比べ画像のボケが問題となるが、一般的に照射線量は少なめで済む。
主な製品[編集 | ソースを編集]
日本で流通しているフラットパネルはほぼ富士フイルムかコニカミノルタで、稀に島津やキヤノンも見かける。