リモート・アフター・ローディング・システム

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リモート・アフター・ローディング・システムRemote After Loading System, RALS)とは、アプリケータという中空の管(ストローみたいなもの)を、食道気管支子宮といった管腔に挿入したり(腔内照射)、病変そのものに刺したりし(組織内照射)、その後アプリケーターに放射線源を機械的に挿入し、子宮癌食道癌などの治療を行う放射線治療装置のことである。単にアフターローディングと呼ばれたり、全部日本語で遠隔後充填法と呼ばれることもある。

概要[編集 | ソースを編集]

リニアックガンマナイフなどで体の外から放射線を照射(外部照射)するに比べ、アフターローディングは病変に隣接または中心で照射を行うので、がん細胞に一度に沢山の放射線をあてることができ、正常細胞への影響も少ない(副作用が少ない)。腔内照射は単独で治療行うことは少なく、主に外部照射と併用するのが一般的である。

アフターローディング治療装置の登場以前は、主にラジウム線源が用いられていた。ラジウム線源は精度が悪く長時間の照射が必要であった。また放射線治療医が放射線源を直接手にもって挿入したり刺入したりしていたため、患者のみならず術者までもが被曝するという代物であった。それがアフターローディングの登場により機械化され、これらの問題は一挙に解決し、治療に大きく貢献することとなった。

最近の機種にはCCDカメラも付いていて目視で確認しながら操作できたりする。内視鏡もそうだが、最近の光学技術の進歩(小型化・高性能化)には目を見張る物がある。

歴史[編集 | ソースを編集]

1966年に島津製作所が世界初となるアフターローディング治療装置ラルストロンRalstron)を開発、その後東芝メディカルシステムズなどの参入もあり1970年代中頃から日本において爆発的に普及が進み、現在では放射線治療に欠くことのできない装置となっている。

その一方で、日本から世界進出(輸出)を開始した途端に安全性に関する問題点が指摘され、使うべきではないとの烙印を押されることになってしまった。

そして1989年に国際電気標準会議(IEC)および国際標準化機構(ISO)によって日本製アフターローディング治療装置が抱える問題点に集点をあてた解決方法が規格化された。この規格では、最低限の性能・精度はもとより、機械的な安全性、放射線的な安全性を維持し、誤動作や故障により照射精度が著しく低下しないよう意図して、高度の安全事項が盛り込まれている。おもな要求項目は、標識・表示、付属文書、不要または過度の放射線による危険に対する保護、故障状態に対する保護、動作データの正確度、その他であり詳細に規定されている。

その後、世界各国のメーカーからIEC規格に準拠した(改良改善した)アフターローディング治療装置が続々と登場することとなる。

一方、日本においては大幅に遅れること1999年にJIS規格化されたが、時既に遅し。1990年代初頭より日本製は壊滅状態で、いち早くIEC規格に準拠した海外製に総ナメにされてしまい今に至っている。

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]