「コンピューター断層撮影」の版間の差分

提供:メディカルウェア
ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
imported>Administrator
編集の要約なし
 
(6人の利用者による、間の10版が非表示)
1行目: 1行目:
'''コンピューター断層撮影断層撮影'''(Computed Tomography、CT)とは、[[X線]]を照射するX線管球と、それに対抗するX線検出器が、その中心に設置した寝台(テーブル)の周りを回転しながら被写体を線状に撮影し、それを再構成して1枚の輪切り画像を取得する装置および撮影法のことである。
'''コンピューター断層撮影'''(英語:Computed Tomography、[[モダリティコード]]:[[CT]])とは、リング状に配置された[[可視光線]]のかわりに[[放射線]]を検出し撮影するデジカメカメラのようなものが回転しながら中心部の被写体を撮影する装置および検査方法である。
 
世間一般では'''CTスキャン'''などとも呼ばれる。
[[DICOM]]が定める[[モダリティコード]]はそのまま「[[CT]]」である。
なお、近年では[[PET]]と[[CT]]が合体した[[PET-CT]]なる[[モダリティ]]も出てきているが、[[DICOM]]では[[PT]]に分類すべきか[[CT]]に分類すべきか困る。
 
== 概要 ==
CTは、[[X線]]を照射する[[X線管球]]と、[[X線]]を検出する[[X線検出器]]を配置したリング状の輪([[ガントリ]]という)を回転させながら、その中心に設置した寝台([[クレードル]]という)の上の被写体を、[[X線写真]]を断続的に撮影する装置および検査方法である。その操作は基本的に[[CT撮影室]]の外側にある操作用端末([[コンソール]]という)で行う。
 
CTでは360度回転しながら断続的に[[X線写真]]を撮影することで得られる複数の線状の[[X線写真]]を、計算により繋ぎ合わせる([[再構成]]という)ことで、1枚以上の輪切りの[[医用画像]]を取得する装置および撮影法のことである。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
世界最初のCTは1930年代にイタリア人放射線科医の[[アレッサンドロ・ヴァッレボーナ]](Alessandro Vallebona)によってトモグラフィーの原理・技術が開発された。
世界最初のCTは1930年代にイタリア人放射線科医の[[アレッサンドロ・ヴァッレボーナ]](Alessandro Vallebona)によってトモグラフィーの原理・技術が開発された。


1949年(昭和24年)に、弘前大学の高橋信次によって実用化一歩手前の高度な「X線廻転法横断撮影装置」が開発された。
1949年(昭和24年)に、弘前大学の[[高橋信次]]によって実用化一歩手前の高度な「X線廻転法横断撮影装置」が開発された。


そして1972年にミニコンピューターを用いた[[EMIスキャナ]]が[[ゴッドフリー・ハウンズフィールド]]によって発表された。
そして1972年にミニコンピューターを用いた[[EMIスキャナ]]が[[ゴッドフリー・ハウンズフィールド]]によって発表された。
13行目: 22行目:


=== ヘリカルCT ===
=== ヘリカルCT ===
'''ヘリカルCT'''(Helical CT)とは、撮影(回転)とテーブル移動を同時に行い、螺旋状に撮影し、計算により画像を補正するようになったもの。
[[ヘリカルCT]]([[Helical CT]])とは、撮影(回転)とテーブル移動を同時に行い、螺旋状に撮影し、計算により画像を補正するようになったもの。


=== MDCT ===
=== MDCT ===
'''マルチ・ディテクターCT'''(Multi Detector CT, MDCT)とは、ヘリカルCTが更に進化したもので、複数(Multi)のX線検出器(Detector)を並列に並べたもの。
[[マルチ・ディテクターCT]]([[Multi Detector CT]], [[MDCT]])とは、ヘリカルCTが更に進化したもので、複数(Multi)のX線検出器(Detector)を並列に並べたもの。
 
X線検出器が増えることで、一度に撮影できる幅が広がり、撮影が高速化されるのはもとより、螺旋状に撮影した際の補正用に重複撮影される部分を最小限に抑えることができ、放射線の被曝量が減る。例えば[[包帯]]を隙間なく巻こうとすると、包帯の幅が狭いと重なる部分が増えるが、包帯の幅が広いと重なる部分が少ないのと同じである。
 
X線検出器の数を「列」という単位で表し、16列や64列などという。
 
最近の主流はこれ。
価格もお手頃とされる。


=== ADCT ===
=== ADCT ===
'''エリア・ディテクターCT'''(Area Detector CT)とは、MDCTと基本構造は同じであるが、X線検出器を256列や320列も並べたMDCTのハイエンド機のことである。特定部位(エリア)を超高速で断続的に撮影(動画撮影)するのを主目的としている(主に[[心臓]])。
[[エリア・ディテクターCT]][[Area Detector CT]], [[ADCT]])とは、MDCTと基本構造は同じであるが、X線検出器を256列や320列も並べたMDCTのハイエンド機のことである。特定部位(エリア)を超高速で断続的に撮影(動画撮影)するのを主目的としている(主に[[心臓]])。
 
320列の機種の代表格である[[東芝メディカルシステムズ]][[Aquilion ONE]]では、16cm幅(= 0.5mm幅の検出器 × 320個)を1回転で撮影できる。ちなみに1回転0.3秒程度(ただし撮影前の加速に数秒かかる)。16cm幅を0.3秒で撮影できることで、[[心臓]](16cmあれば全体が映る)を初期のCTのようにテーブルを動かさず、断続的に撮り続けることで、4D画像([[ボリューム・レンダリング]]動画)を綺麗に撮ることができる。
 
ハイエンド機種なので当然プライスレス。
当然4D画像を扱える[[DICOMビューアー]]も必要なので導入には[[モダリティー]]のみならず[[PACS]]まで丸ごと入れ替える意気込みが必要である。


=== DSCT ===
[[デュアル・ソースCT]]([[Dual Source CT]], [[DSCT]])とは、一度にエネルギーの異なるボリュームデータを連続収集することが出来るもの(一度に2検査できる)。
<!--
<!--
=== DSCT ===
管電圧と管電流を高速に切り替える機種や、単純に予め管電圧と管電流が違うX線管球とX線検出器をXY軸で90度オフセットした位置で配置している機種ものまで、その方式はメーカーにより様々である。
'''デュアル・ソースCT'''(Dual Source CT)とは、一度にエネルギーの異なるボリュームデータを連続収集することが出来るもの(一度に2検査できる)。管電圧と管電流を高速に切り替える機種や、単純に予め管電圧と管電流が違うX線管球とX線検出器をXY軸で90度オフセットした位置で配置している機種ものまで、その方式はメーカーにより様々である。


一度に2検査を行うので検査画像間でノイズレベルを合わせることができ、寝台移動が無いため高精度のレジストレーション(2つの検査の位置あわせ)も期待できる。
一度に2検査を行うので検査画像間でノイズレベルを合わせることができ、寝台移動が無いため高精度のレジストレーション(2つの検査の位置あわせ)も期待できる。
46行目: 44行目:


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[医用画像機器]]
* [[核磁気共鳴断層撮影]]
* [[核磁気共鳴断層撮影]]
* [[コンピュータX線撮影]]
* [[放射線科]]
* [[DICOM]]
* [[モダリティ]]
== 参考文献 ==
{{reflist}}


{{medical-stub}}
{{medical-stub}}

2013年1月18日 (金) 13:30時点における最新版

コンピューター断層撮影(英語:Computed Tomography、モダリティコードCT)とは、リング状に配置された可視光線のかわりに放射線を検出し撮影するデジカメカメラのようなものが回転しながら中心部の被写体を撮影する装置および検査方法である。

世間一般ではCTスキャンなどとも呼ばれる。 DICOMが定めるモダリティコードはそのまま「CT」である。 なお、近年ではPETCTが合体したPET-CTなるモダリティも出てきているが、DICOMではPTに分類すべきかCTに分類すべきか困る。

概要[編集 | ソースを編集]

CTは、X線を照射するX線管球と、X線を検出するX線検出器を配置したリング状の輪(ガントリという)を回転させながら、その中心に設置した寝台(クレードルという)の上の被写体を、X線写真を断続的に撮影する装置および検査方法である。その操作は基本的にCT撮影室の外側にある操作用端末(コンソールという)で行う。

CTでは360度回転しながら断続的にX線写真を撮影することで得られる複数の線状のX線写真を、計算により繋ぎ合わせる(再構成という)ことで、1枚以上の輪切りの医用画像を取得する装置および撮影法のことである。

歴史[編集 | ソースを編集]

世界最初のCTは1930年代にイタリア人放射線科医のアレッサンドロ・ヴァッレボーナ(Alessandro Vallebona)によってトモグラフィーの原理・技術が開発された。

1949年(昭和24年)に、弘前大学の高橋信次によって実用化一歩手前の高度な「X線廻転法横断撮影装置」が開発された。

そして1972年にミニコンピューターを用いたEMIスキャナゴッドフリー・ハウンズフィールドによって発表された。

進化[編集 | ソースを編集]

初期のCT[編集 | ソースを編集]

初期のCTは、1回転して撮影、テーブル移動を繰り返していた。

ヘリカルCT[編集 | ソースを編集]

ヘリカルCTHelical CT)とは、撮影(回転)とテーブル移動を同時に行い、螺旋状に撮影し、計算により画像を補正するようになったもの。

MDCT[編集 | ソースを編集]

マルチ・ディテクターCTMulti Detector CT, MDCT)とは、ヘリカルCTが更に進化したもので、複数(Multi)のX線検出器(Detector)を並列に並べたもの。

ADCT[編集 | ソースを編集]

エリア・ディテクターCTArea Detector CT, ADCT)とは、MDCTと基本構造は同じであるが、X線検出器を256列や320列も並べたMDCTのハイエンド機のことである。特定部位(エリア)を超高速で断続的に撮影(動画撮影)するのを主目的としている(主に心臓)。

DSCT[編集 | ソースを編集]

デュアル・ソースCTDual Source CT, DSCT)とは、一度にエネルギーの異なるボリュームデータを連続収集することが出来るもの(一度に2検査できる)。

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]