「インシデント」の版間の差分

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'''Incident'''<br>
'''Incident'''<br>
Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis<br>
Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis<br>
「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」
「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」


                               —ISO22300 (2.1.15)
                               —ISO22300 (2.1.15)

2017年10月1日 (日) 21:15時点における版

インシデント (英: incident) は、事故などの危難が発生するおそれのある事態を言い、ISO22300によると次のように定義されている。

Incident

Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis
「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」

                               —ISO22300 (2.1.15)

「危機」や「事案」などと訳されている場合があるが、実際にはインシデントの意味に合致する日本語は存在しない。東日本大震災のように最初からの大災害、医療事故や航空機のニアミス、日々発生しているような交通事故や火事、企業の工場で生産ラインが止まってしまう事例、製造ラインに農薬を混入される事件、パソコンのウイルス感染、これらは全てインシデントである。

かつては事故(アクシデント)が発生する一歩手前の状況がインシデントと呼ばれていたのだが、事故などが発生した後でもほっておけば被害は拡大していくため、その意味ではその事故自体がまた他の事故や危機の発生する一歩手前と考えられるという観点から目に見える事故が発生する一歩手前の状況からすでに目に見える事故や災害が発生してしまった状況までをも含めてインシデントと呼ばれるようになっている。したがって、突発的な出来事で、迅速な対応が要求され、即座に対応しなければ被害が広がっていくものは全てインシデントという言葉で含有される。インシデントには大小様々、種類様々なものがあり、決して危機とか大災害だけを指すものではなく、また、事故が起きる一歩手前の状況のみをインシデントと呼ぶわけでもない。

インシデントの分析

SHELモデル
インシデントを減少させるためにはなぜそれが起こったかという要因分析が重要である。例としてSHEL(シェル)モデルがある。

  • S: ソフトウェア (Software) …… マニュアルなど
  • H: ハードウェア (Hardware) …… 道具、機器
  • E: 環境 (Environment)
  • L: 個人的要素 (Liveware) …… 性格なども含む

これらの要因ごとに分析をし、そのインシデント発生の原因を把握して対処する。

Lを当事者と周囲の人々の二つに分けてSHELL(シェル)モデルということもある。

SHEL モデルは、航空事故に関して 1972年に Elwin Edwards によって作られたモデルをもとに、1975年に Frank H Hawkins が作った。 これが日本では徐々に医療・介護分野でも応用されていった。

ハインリッヒの法則
1件の重大事故(重傷以上)があれば、その背後に29件の軽度の事故があり、300件のインシデントが潜んでいる。この経験則をハインリッヒの法則という。この法則に基づいて、予防可能な不安全行動や不安全状態をなくすことによって、重大事故のリスクを減少させることができる。

医療の場合
Medical incidentは、医療現場において、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見できた事例、または誤った医療行為などが実施されたが結果として患者に影響を及ぼさずに済んだ事例をいう。一歩間違えれば重大事故になるが、事故にならずに済んだ事例である。業務上のこのような事例の発見はヒヤリ・ハットとも呼ばれ、これらの事例を集計することによって、インシデント・医療ミス・医療事故の発生の予防に役立てている。

関連項目