日和見感染
日和見感染(読み:ひよりみかんせん、英語:opportunistic infection)とは、健常人では保菌・定着しか起こさない非病原性あるいは弱毒性の病原体が、宿主の免疫低下に応じて感染を生じるものをいう[1]。
概要[編集 | ソースを編集]
一般的に病気などで免疫力が低下したヒト、動物に発症する感染症のことをいう。
例えば、
- 広範な火傷や外傷、中心静脈カテーテル等の器具の使用等の局所的障害
- 後天性免疫不全症候群(AIDS)などに代表されるように免疫力の低下を招く疾患に罹患
- 臓器移植等で抗腫瘍剤や副腎皮質ステロイドなどの免疫抑制剤を使用中
- 放射線治療
- 抗菌剤の長期連用
- 加齢に伴う体力減衰等の要因によって動物の免疫力が低下
などが該当し、通常であればその免疫力によって増殖が抑えられている病原性の低い常在細菌が増殖し、その結果として病気を引き起こすことがある。すなわち日和見感染とは、宿主と病原体との間で保たれていたバランスが宿主側の抵抗力低下により崩れ、宿主の発病につながるものである。
日和見感染を起こす病原体の中には薬剤耐性を獲得しているものも含まれており、いったん発病した場合にその治療に有効な薬剤が限定されることから、医学上の大きな問題になっている。
免疫力の低下により易感染性になった人のことを、易感染宿主(コンプロマイズドホスト)という。
主な病原体[編集 | ソースを編集]
ヒト[編集 | ソースを編集]
ヒトにおいて日和見感染症を引き起こす主な病原体としては以下のようなものがある。
このうち、細菌や真菌の感染症はがんの化学療法や血液幹細胞移植などによる好中球減少時に起こることが多い。 ニューモチスティス肺炎やCMV感染症などは、臓器移植や免疫抑制剤の使用による免疫低下状態になると発生しやすくなる。
主な予防策[編集 | ソースを編集]
日和見感染の予防としては、体力を維持し免疫力を保つことが大切である。 ただ他の疾病の治療中に起こるなど、やむを得ない場合も多く、改善が難しい場合もある。 従って病原菌の排除や感染経路の遮断などが主な予防法となる。
食べ物の中にはさまざまな細菌が存在しており、食中毒を防ぐためにも衛生的かつ新鮮な食物を食べることが重要である。 また、体調が悪いときには生ものは避け、火を通すること。
主な検査[編集 | ソースを編集]
日和見感染の早期発見には定期的に検査、検診を受けることが重要である。
関連項目[編集 | ソースを編集]
参考文献[編集 | ソースを編集]
- ↑ 中島泉(著)、吉開泰信(著)、高橋利忠(著)、「シンプル免疫学』、144~147ページ、南江堂; 改訂第2版、2001年02月