フェンタニル
ナビゲーションに移動
検索に移動
フェンタニル (Fentanyl) とは、主に麻酔や鎮痛、疼痛緩和の目的で利用される合成オピオイドである。1996年のWHO方式がん疼痛治療法の3段階中の3段階目で用いられる強オピオイドである。
麻薬及び向精神薬取締法における麻薬である。狭義の麻薬である。
薬理
フェンタニルの効果はモルヒネの100–200倍と言われ、モルヒネをはじめとするその他のオピオイド性鎮痛薬と同様、循環器系にあまり影響はないが、呼吸抑制は強く、臨床使用量でも多くの場合、呼吸補助を必要とする。大量投与でない限り、意識レベルには影響しない。使用後に吐き気を訴えることがある。
排泄半減期は3.6時間と長いが急速に脂肪組織などへ移行するため、血漿中からは投与後60分以内に98%が消失する。
剤型・用途
- フェンタニルの注射剤は麻酔、鎮痛に使われる。鎮痛効果の強さと血漿半減期の短さから、刻一刻と変化する侵襲に対応しやすく、手術中の鎮痛薬に適している。特に全身麻酔の場合人工呼吸器を使用するため、副作用の呼吸抑制も無視できる。
- パッチ剤は癌性疼痛の緩和に使われる。特に経口オピオイドが使えない患者に有用である。パッチ剤は商品名デュロテップMTパッチ、フェントステープがある。
乱用
乱用薬物としても流通していて、通称はチャイナホワイト。その効果から「合成ヘロイン」「ヘロインのデザイナードラッグ」とも評される。同量でヘロインより50倍の効果があることから、流通しているヘロインに混ぜ物として混入しているとも言われる。
事故
2016年4月21日の早朝に、アメリカのミュージシャンであるプリンスが、アメリカのミネソタ州にあるペイズリー・パーク・スタジオで亡くなった。このことについて、同年6月2日にミネソタ州の検視当局により死因はフェンタニルの過剰投与による中毒死である報告書が公表された。[1]