放射性崩壊

提供:メディカルウェア
2011年3月29日 (火) 12:59時点におけるimported>PACSによる版
ナビゲーションに移動 検索に移動

放射性崩壊(ほうしゃせいほうかい、radioactive decay)は、不安定な原子核放射性同位体)が様々な相互作用によって状態を変化させる現象である。放射性壊変(ほうしゃせいかいへん)、放射壊変(ほうしゃかいへん)、原子核崩壊(げんしかくほうかい)、あるいは、単に崩壊とも呼ばれる。

放射性同位体の半数が放射性崩壊をおこす確率を半減期という。あくまで確率なので絶対ではないが、総量が多ければ確率は収束するので絶対と言ってよい。

放射性崩壊の種類

これらの現象の詳細は、個別の記事を参照のこと。

アルファ崩壊
アルファ粒子を放出し、陽子2個・中性子2個を減じた核種に変わる。核分裂反応の一つとして認識されることもある(例:226Ra222Rn)。
ベータ崩壊
質量数を変えることなく、陽子・中性子の変換が行われる反応の総称で、β-崩壊(陰電子崩壊)、β+崩壊(陽電子崩壊)、電子捕獲二重ベータ崩壊二重電子捕獲(Double electron capture)が含まれる。
ガンマ崩壊
それぞれの崩壊を終えた直後の原子核には過剰なエネルギーが残存するため、電磁波ガンマ線)を放つことにより安定化をしようとする反応である。
核分裂反応
非常に重く不安定な核種では、その核が質量の小さな原子核に分裂し、巨大なエネルギーを放つとともに、より安定な核種へと変化する。例えば、235U中性子を衝突させると、95Mo139Laに分裂し、2つの中性子を放出し、欠損した質量分のエネルギーが発生する。
自発核分裂
核分裂反応のうち、自由な中性子の照射を受けることなく起きる核分裂を指す。現象そのものは人為的な核分裂反応と変わらない。
核異性体転移
ITと略される。原子番号と質量数ともに同じで、エネルギー準位が異なるような二つの核種を、核異性体であるという。例えば、99Tcと99mTcは互いに核異性体である。エネルギー準位が高いほうは記号mを付けて区別するのだが、こちらは準安定状態(メタステーブル)であり、余剰のエネルギーを放出して安定になろうとする。エネルギー準位が高いほうの核異性体がガンマ線を放出して、より安定な方の核異性体に変化することを、核異性体転移という。放出される放射線はガンマ線であり、原子核の原子番号と質量数はともに変化しない。
99mTc → 99Tc + γ (T1/2=6.01h)
一部の核異性体転移では、ガンマ線が軌道電子にエネルギーを与えてはじき出す。これを内部転換という。電子がはじき出される点でベータ崩壊に似ているが、原子核は変化しておらず、自らの原子はイオン化される。