近赤外線透視
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近赤外線透視装置 (Diaphanography, モダリティ記号DG)とは、近赤外線をもちいて体内を透視撮影する装置のことであり、手術ナビゲーションシステムの一種である。1980年代頃にはLight Scanningとも呼ばれていた。
近赤外線透視装置は「透視」という意味ではX線透視装置 (DR装置)と類似しているが、その原理は大きくことなる。近赤外線透視装置は体表面から皮下のリンパ管(節)やリンパ流、軟部組織(筋肉や脂肪)内血管や血流あるいは血管内腔にインドシアニン・グリーン(ICG, indocyanine green)を投与することにより発せられる近赤外蛍光像を捉え、画像化する。
歴史
近赤外線透視装置の歴史は古く、1929年にアメリカの研究者Cutlerは乳房を透過する白色光を暗室で観察したところ、病巣と思われる部分とその周囲の組織の間に光透過特性の相違が見られたと報告したのが最初と言われている[1]。
乳房の光透映は1970年代から1980年代にかけ、高感度CCDカメラを用いた活発に研究が行われていたが、論文は大量に発表されるものの、そのどれもが実用化には至らず、徐々に下火となっていた。
一度は忘れ去られた技術であったが、21世紀に入り光学が飛躍的な進歩を遂げたことで再度注目されるようになった。
そして2010年6月4日、ついに高知大学医学部にて、同大学の佐藤隆幸教授らが設計開発し、瑞穂医科工業株式会社が製品化した「Hyper Eye Medical System」が世界で初となる臨床での稼働を実現した。
脚注
- ↑ M.Cutler:Surg.Gynecol.Obstet48(1929)72L