コンピューター断層撮影
コンピューター断層撮影断層撮影(Computed Tomography、CT)とは、X線を照射するX線管球と、それに対抗するX線検出器が、その中心に設置した寝台(テーブル)の周りを回転しながら被写体を線状に撮影し、それを再構成して1枚の輪切り画像を取得する装置および撮影法のことである。
歴史
世界最初のCTは1930年代にイタリア人放射線科医のアレッサンドロ・ヴァッレボーナ(Alessandro Vallebona)によってトモグラフィーの原理・技術が開発された。
1949年(昭和24年)に、弘前大学の高橋信次によって実用化一歩手前の高度な「X線廻転法横断撮影装置」が開発された。
そして1972年にミニコンピューターを用いたEMIスキャナがゴッドフリー・ハウンズフィールドによって発表された。
進化
初期のCT
初期のCTは、1回転して撮影、テーブル移動を繰り返していた。
ヘリカルCT
ヘリカルCT(Helical CT)とは、撮影(回転)とテーブル移動を同時に行い、螺旋状に撮影し、計算により画像を補正するようになったもの。
MDCT
マルチ・ディテクターCT(Multi Detector CT, MDCT)とは、ヘリカルCTが更に進化したもので、複数(Multi)のX線検出器(Detector)を並列に並べたもの。
X線検出器が増えることで、一度に撮影できる幅が広がり、撮影が高速化されるのはもとより、螺旋状に撮影した際の補正用に重複撮影される部分を最小限に抑えることができ、放射線の被曝量が減る。例えば包帯を隙間なく巻こうとすると、包帯の幅が狭いと重なる部分が増えるが、包帯の幅が広いと重なる部分が少ないのと同じである。
X線検出器の数を「列」という単位で表し、16列や64列などという。
最近の主流はこれ。 価格もお手頃とされる。
ADCT
エリア・ディテクターCT(Area Detector CT)とは、MDCTと基本構造は同じであるが、X線検出器を256列や320列も並べたMDCTのハイエンド機のことである。特定部位(エリア)を超高速で断続的に撮影(動画撮影)するのを主目的としている(主に心臓)。
320列の機種の代表格である東芝メディカルシステムズのAquilion ONEでは、16cm幅(= 0.5mm幅の検出器 × 320個)を1回転で撮影できる。ちなみに1回転0.3秒程度(ただし撮影前の加速に数秒かかる)。16cm幅を0.3秒で撮影できることで、心臓(16cmあれば全体が映る)を初期のCTのようにテーブルを動かさず、断続的に撮り続けることで、4D画像(ボリューム・レンダリング動画)を綺麗に撮ることができる。
ハイエンド機種なので当然プライスレス。 当然4D画像を扱えるDICOMビューアーも必要なので導入にはモダリティーのみならずPACSまで丸ごと入れ替える意気込みが必要である。