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'''医療機器'''とは、[[薬事法]] | '''医療機器'''とは、[[薬事法]]において「人若しくは動物の[[疾病]]の[[診断]]、[[治療]]若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と定義されている。機器という名称であるが、大型の機器のみならず、消耗品も含まれる。 | ||
医療機器は、薬事法により製造や販売が規制されており、また、どのようなものが医療機器に該当するかも薬事法で明確に定められており、[[厚生労働省]]より[[薬事認証]]を受ける必要がある。 | |||
== | == クラス == | ||
医療機器は、その機器の[[人体]]等に及ぼす危険度に応じ、国際基準である[[GHTF]]([[Global Harmonization Task Force]]:[[医療機器規制国際整合化会議]])の勧告に基づき国際的なクラス分類がされている。日本ではこのクラス分類に基づいて、厚生労働省告示により既存の医療機器が分類されている。 | |||
=== クラスI (一般医療機器) === | |||
クラスIは、適正に使用したにも関わらず、[[副作用]]や[[機能障害]]などの不具合が生じた場合dでも、人の[[生命]]・[[健康]]に影響を与えるおそれがほとんどないもののことである。 | |||
製造販売には「許可」や届出は不要。 | |||
諸外国も同様の状況であったが近年法改正が相次ぎ解決している。一方、日本では[[日本画像医療システム工業会]] | ==== 例 ==== | ||
* [[血圧計]] | |||
* [[聴診器]] | |||
* [[メス]] | |||
* [[ハサミ]] | |||
* [[ピンセット]] | |||
* [[歯科技工用機器]] | |||
* [[X線フィルム]] | |||
=== クラスII (管理医療機器)=== | |||
クラスIIは、適正に使用したにも関わらず、[[副作用]]や[[機能障害]]などの不具合が生じた場合、人の[[生命]]・[[健康]]に影響を与えるおそれがあるもののことである。 | |||
製造販売には「届出」が必要。 | |||
==== 例 ==== | |||
* [[補聴器]] | |||
* 家庭用電気治療器(マッサージ器など) | |||
* 歯冠材料 | |||
* [[手術用手袋]] | |||
* [[体温計]] | |||
=== クラスIII (高度管理医療機器) === | |||
クラスIIIは、適正に使用したにも関わらず、[[副作用]]や[[機能障害]]などの不具合が生じた場合、人の[[生命]]・[[健康]]に'''重大な'''影響を与えるおそれがあるもののことである。 | |||
製造販売には「許可」が必要。 | |||
==== 例 ==== | |||
* [[AED]] | |||
* [[コンタクトレンズ]] | |||
* [[人工関節]] | |||
=== クラスIV (高度管理医療機器) === | |||
クラスIVは、クラスIIIと同様に、適正に使用したにも関わらず、[[副作用]]や[[機能障害]]などの不具合が生じた場合、人の[[生命]]・[[健康]]に重大な影響を与えるおそれがあるものと定義されている。クラスIIIとの違いは危険性の度合いによる。 | |||
製造販売には「許可」が必要。 | |||
==== 例 ==== | |||
* [[ペースメーカー]] | |||
* [[心臓弁]] | |||
* [[ステント]] | |||
=== 特定保守管理医療機器 === | |||
特定保守管理医療機器とは、[[厚生労働省]]の告示により、クラス分類の枠に収まらないスペシャルな医療機器として指定されているもののことである。事実上のクラスVである。 | |||
特定保守管理医療機器はその使用のみならず、保守管理に特別の技術が必要とされるものが指定され、その中でも設置に特別の技術等が必要とされるものを設置管理医療機器という。 | |||
俗に言う[[モダリティ]]全般が指定されている。 | |||
製造販売には「許可」および「管理者」が必要となる。管理者は特定保守管理医療機器の販売保守業務に3年以上の経験を有し、厚生労働大臣または厚生労働大臣が任命した者によって管理技能を認められた者がなれる(ようするに第二種運転免許や警備業免許などと同じ)。 | |||
==== 例 ==== | |||
* X線診断装置([[レントゲン装置]]や[[CR装置]]や[[CT装置]]などX線機器全般) | |||
* [[MR装置]] | |||
* [[超音波診断装置]] | |||
* [[内視鏡]] (および関連装置を含む) | |||
* [[体外診断用機器]] | |||
* [[理学療法用関連機器]] | |||
== 医療機器に含まれないもの == | |||
[[薬事法]]では正確には「医療機器」ではなく「医療器具」となっており、その名が示すように「器具」すなわち「ハードウェア」であって、そこに「ソフトウェア」は一切含まれない。 | |||
このため、たとえば[[画像診断]]での用いるパソコン本体一式は医療機器であるが、その中で動く[[DICOMビューア]]などのソフトウェア単体では医療機器には含まれない。同様に[[画像診断]]での用いられる[[高精細モニタ]]もパソコン本体一式ではなく、PCパーツ扱いであるため単独では医療機器には含まれない。 | |||
このためこれらは薬事法に定められる薬事認可を受けられない。これはコンピュータ・ソフトウェアが存在しなかった時代に制定された法律が今も用いられているためである。 | |||
諸外国も同様の状況であったが近年法改正が相次ぎ解決している。一方、日本では[[日本画像医療システム工業会]]が[[厚生労働省]]に対し、毎年のように意見書提出等を行い進言しているが、今のところどうにもなっていない。 | |||
== 医療機器業界 == | |||
医療機器や医療ソフトを専門に扱う業界は、少なくとも医薬品を扱う製薬業界ほど派手さはない。 | |||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
* [[モダリティ]] | * [[モダリティ]] | ||
* [[医療機器商社]] | |||
** [[ムトウ]] | |||
== 参考文献 == | |||
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2012年9月10日 (月) 18:04時点における最新版
医療機器とは、薬事法において「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と定義されている。機器という名称であるが、大型の機器のみならず、消耗品も含まれる。
医療機器は、薬事法により製造や販売が規制されており、また、どのようなものが医療機器に該当するかも薬事法で明確に定められており、厚生労働省より薬事認証を受ける必要がある。
クラス[編集 | ソースを編集]
医療機器は、その機器の人体等に及ぼす危険度に応じ、国際基準であるGHTF(Global Harmonization Task Force:医療機器規制国際整合化会議)の勧告に基づき国際的なクラス分類がされている。日本ではこのクラス分類に基づいて、厚生労働省告示により既存の医療機器が分類されている。
クラスI (一般医療機器)[編集 | ソースを編集]
クラスIは、適正に使用したにも関わらず、副作用や機能障害などの不具合が生じた場合dでも、人の生命・健康に影響を与えるおそれがほとんどないもののことである。
製造販売には「許可」や届出は不要。
例[編集 | ソースを編集]
クラスII (管理医療機器)[編集 | ソースを編集]
クラスIIは、適正に使用したにも関わらず、副作用や機能障害などの不具合が生じた場合、人の生命・健康に影響を与えるおそれがあるもののことである。
製造販売には「届出」が必要。
例[編集 | ソースを編集]
クラスIII (高度管理医療機器)[編集 | ソースを編集]
クラスIIIは、適正に使用したにも関わらず、副作用や機能障害などの不具合が生じた場合、人の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあるもののことである。
製造販売には「許可」が必要。
例[編集 | ソースを編集]
クラスIV (高度管理医療機器)[編集 | ソースを編集]
クラスIVは、クラスIIIと同様に、適正に使用したにも関わらず、副作用や機能障害などの不具合が生じた場合、人の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあるものと定義されている。クラスIIIとの違いは危険性の度合いによる。
製造販売には「許可」が必要。
例[編集 | ソースを編集]
特定保守管理医療機器[編集 | ソースを編集]
特定保守管理医療機器とは、厚生労働省の告示により、クラス分類の枠に収まらないスペシャルな医療機器として指定されているもののことである。事実上のクラスVである。
特定保守管理医療機器はその使用のみならず、保守管理に特別の技術が必要とされるものが指定され、その中でも設置に特別の技術等が必要とされるものを設置管理医療機器という。
俗に言うモダリティ全般が指定されている。
製造販売には「許可」および「管理者」が必要となる。管理者は特定保守管理医療機器の販売保守業務に3年以上の経験を有し、厚生労働大臣または厚生労働大臣が任命した者によって管理技能を認められた者がなれる(ようするに第二種運転免許や警備業免許などと同じ)。
例[編集 | ソースを編集]
医療機器に含まれないもの[編集 | ソースを編集]
薬事法では正確には「医療機器」ではなく「医療器具」となっており、その名が示すように「器具」すなわち「ハードウェア」であって、そこに「ソフトウェア」は一切含まれない。
このため、たとえば画像診断での用いるパソコン本体一式は医療機器であるが、その中で動くDICOMビューアなどのソフトウェア単体では医療機器には含まれない。同様に画像診断での用いられる高精細モニタもパソコン本体一式ではなく、PCパーツ扱いであるため単独では医療機器には含まれない。
このためこれらは薬事法に定められる薬事認可を受けられない。これはコンピュータ・ソフトウェアが存在しなかった時代に制定された法律が今も用いられているためである。
諸外国も同様の状況であったが近年法改正が相次ぎ解決している。一方、日本では日本画像医療システム工業会が厚生労働省に対し、毎年のように意見書提出等を行い進言しているが、今のところどうにもなっていない。
医療機器業界[編集 | ソースを編集]
医療機器や医療ソフトを専門に扱う業界は、少なくとも医薬品を扱う製薬業界ほど派手さはない。