ニュース:国主導のアルツハイマー病研究でデータ改竄か。厚労省が調査のソースを表示

{{日付|2014年1月10日}}
国と[[製薬会社]]が行う大規模[[アルツハイマー病]]研究事業「[[J-ADNI]]」に参加した[[研究者]]たちから、「[[臨床試験]]のデータが改ざんされた疑いがある」との指摘があり、[[厚生労働省]]が聞き取り調査を始めたことが１０日、分かった。

== 概要 ==
[[J-ADNI]]は、[[アルツハイマー病]]を[[研究]]して[[新薬]]開発を目指す事業で、国と[[製薬会社]]が計約30億円（うち[[助成金]]20億円以上）を拠出し、2007年に開始。[[東京大学大学院]]の[[岩坪威]][[教授]]（[[神経病理学]]）が代表となり、全国38[[医療施設]]で実施されている。

同研究は軽度の[[アルツハイマー病]]の[[患者]]や、[[発症]]には至っていない[[軽度認知障害]]とされた人など計600人を2～3年間[[追跡調査]]し、[[脳]]に起きる変化を調べた。今年３月末に[[報告書]]が提出される予定だ。

不適切と指摘されているのは、[[研究]]に協力した545人の[[高齢者]]に対する心理試験データ。30分後に記憶を再生・確認する[[検査]]で、実際は1時間以上経過した後に行った[[検査]]を、30〜40分後に[[検査]]したと書き換えるケースがあったとしている。

また、[[アルツハイマー病]]以外が原因の[[認知症]]の[[患者]]など、[[健康状態]]が悪く、[[臨床試験]]に適さない[[患者]]が研究対象に少なくとも80人が含まれているとも指摘しているという。

== 指摘 ==
改ざんの疑いを指摘したのは同研究でデータ分析を担当しているグループ。[[筑波大学]]の[[朝田隆]][[教授]]は「5年間の研究の成果が出せない」と憤る。

また、研究班の[[杉下守弘]]・元東大[[教授]]も「これはデータの改ざんだ。他にも条件に合わない患者の登録が多数行われており、研究の信頼性を損なう」と訴えている。

== 反論 ==
一方、岩坪[[教授]]は同省の調査に、時間変更は記憶を頼りに直したもので、改ざんではないと回答しており、見解が食い違っている。「データの確認・修正を行っている段階で、改ざんとの指摘は事実誤認だ」と話している。

== 調査方針 ==
田村[[厚労相]]は１０日午前の閣議後記者会見で、「現時点では適切なデータの変更なのか、改ざんなのかは不明。まずは事実関係を早急に調査する」「事実関係を確認し、問題があれば厳しく対処する」と述べ、慎重に調査を進める考えを示しました。

== 関連項目 ==
* [[アルツハイマー型認知症]]

== 参考文献 ==
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