獣医師法

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獣医師法(じゅういしほう)とは、日本の法律のひとつであり、獣医師全般の資格および業務などについて規定した法律である。

歴史[編集]

本稿は法律を噛み砕いて解説することを目的として転載しているものである。記載事項は最新改訂に追従していない可能性がある。最新情報は電子政府の総合窓口(イーガブ)を参照せよ。[1]

  • 成立 - 1949年(昭和24年)6月1日(法律186号) 
  • 施行 - 1949年(昭和24年)10月1日
  • 改正 - 2007年(平成19年)6月27日(法律96号)

第一章 総則[編集]

第一条 獣医師の任務[編集]

獣医師は、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによつて、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与するものとする。

第一条の二 定義[編集]

この法律において「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。

第二条 名称禁止[編集]

獣医師でない者は、獣医師又は、これに紛らわしい名称を用いてはならない。

第二章 免許[編集]

第三条 免許[編集]

獣医師になろうとする者は、獣医師国家試験に合格し、かつ、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、農林水産大臣の免許を受けなければならない。

第四条 免許を与えない場合[編集]

次の各号のいずれかに該当する者には、前条の免許を与えない。

  1. 未成年者
  2. 成年被後見人又は被保佐人

第五条[編集]

次の各号のいずれかに該当する者には、第三条の免許を与えないことがある。

  1. 心身の障害により獣医師の業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で定めるもの
  2. 麻薬大麻又はあへん中毒者
  3. 罰金以上の刑に処せられた者
  4. 前号に該当する者を除くほか、獣医師道に対する重大な背反行為若しくは獣医事に関する不正の行為があつた者又は著しく徳性を欠くことが明らかな者
  5. 第八条第二項第四号に該当して免許を取り消された者
2

前項各号のいずれかに該当する者から免許の申請があつたときは、農林水産大臣は、獣医事審議会の意見を聴いて免許を与えるかどうかを決定しなければならない。

第六条 獣医師名簿[編集]

農林水産省獣医師名簿を備え、獣医師の免許に関する事項を登録する。

第七条 登録及び免許証[編集]

第三条の免許は、獣医師名簿に登録することによつて与えられる。

2

農林水産大臣は、第三条の免許を与えたときは、獣医師免許証を交付する。

第八条 免許の取消し及び業務の停止[編集]

獣医師が第四条各号の一に該当するとき、又は獣医師から申請があつたときは、農林水産大臣は、その免許を取り消さなければならない。

2

獣医師が次の各号の一に該当するときは、農林水産大臣は、獣医事審議会の意見を聴いて、その免許を取り消し、又は期間を定めて、その業務の停止を命ずることができる。

  1. 第十九条第一項の規定に違反して診療を拒んだとき。
  2. 第二十二条の規定による届出をしなかつたとき。
  3. 前二号の場合のほか、第五条第一項第一号から第四号までの一に該当するとき。
  4. 獣医師としての品位を損ずるような行為をしたとき。
3

前項の規定により意見を聴かれたときは、獣医事審議会は、当該獣医師に、当該処分の原因となる事実を文書をもつて通知し、意見の聴取を行わなければならない。

前項の意見の聴取に際しては、当該獣医師又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。

当該獣医師又はその代理人は、第三項の規定による通知があつた時から意見の聴取が終結する時までの間、農林水産大臣に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、農林水産大臣は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

前三項に定めるもののほか、獣医事審議会が行う意見の聴取に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

第二項の規定による処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第九条 免許の申請手続等[編集]

この章に規定するもののほか、免許の申請、獣医師名簿の登録、訂正及び抹消並びに免許証の交付、書換交付、再交付及び返納については、農林水産省令で定める。

第三章 試験[編集]

第十条 試験の目的[編集]

獣医師国家試験は、飼育動物診療上必要な獣医学並びに獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能について行う。

第十一条 試験の実施[編集]

獣医事審議会は、農林水産大臣の監督の下に、毎年少なくとも一回、獣医師国家試験及び獣医師国家試験予備試験を行わなければならない。

第十二条 受験資格[編集]

次の各号の一に該当する者でなければ、獣医師国家試験を受けることができない。

  1. 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。)において獣医学の正規の課程を修めて卒業した者
  2. 外国の獣医学校を卒業し、又は外国で獣医師の免許を得た者であつて、獣医事審議会が前号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定したもの
  3. 獣医師国家試験予備試験に合格した者

前項第三号の獣医師国家試験予備試験は、外国の獣医学校を卒業し、又は外国で獣医師の免許を得た者(同項第二号に該当する者を除く。)であつて、獣医事審議会が適当と認定したものでなければ、受けることができない。

第十三条 合格者名簿の提出[編集]

獣医事審議会は、獣医師国家試験に合格した者の名簿を農林水産大臣に提出しなければならない。

第十四条 不正受験者の処置[編集]

獣医師国家試験又は獣医師国家試験予備試験に関して不正の行為があつたときは、獣医事審議会は、当該不正行為に関係がある者について、その受験を停止し、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さないことができる。

第十五条 受験手数料[編集]

獣医師国家試験又は獣医師国家試験予備試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

第十六条 試験科目等[編集]

獣医事審議会は、試験期日の四月前までに、試験の科目、試験を行う場所及び日時、受験手続その他試験に関する細目を定めて、農林水産大臣に報告しなければならない。

農林水産大臣は、試験期日の三月前までに、前項の試験に関する細目を公告しなければならない。

第十六条の二 臨床研修[編集]

診療を業務とする獣医師は、免許を受けた後も、大学の獣医学に関する学部若しくは学科の附属施設である飼育動物診療施設(以下単に「診療施設」という。)又は農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うように努めるものとする。

農林水産大臣は、前項の規定により指定した診療施設臨床研修を行うについて不適当であると認められるに至つたときは、その指定を取り消すことができる。

農林水産大臣は、第一項の指定又は前項の指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、獣医事審議会の意見を聴かなければならない。

第十六条の三[編集]

前条第一項に規定する診療施設の長は、当該診療施設において同項の臨床研修を行つた者があるときは、当該臨床研修を行つた旨を農林水産大臣に報告するものとする。

第十六条の四 農林水産省令への委任[編集]

前二条に規定するもののほか、第十六条の二第一項の臨床研修の実施の期間及び診療施設の指定、前条の規定による報告その他の臨床研修の実施に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

第十六条の五 臨床研修の実施に関する援助[編集]

農林水産大臣は、第十六条の二第一項の臨床研修の円滑な実施を図るため、同項に規定する診療施設の長に対し、必要な資料の提供、助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。

第四章 業務[編集]

第十七条 飼育動物診療業務の制限[編集]

獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。

第十八条 診断書の交付等[編集]

獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇毒薬生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品投与若しくは処方をし、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない。ただし、診療死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

第十九条 診療及び診断書等の交付の義務[編集]

診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

診療し、出産に立ち会い、又は検案をした獣医師は、診断書出生証明書死産証明書又は検案書の交付を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

第二十条 保健衛生の指導[編集]

獣医師は飼育動物診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育に係る衛生管理の方法その他飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならない。

第二十一条 診療簿及び検案簿[編集]

獣医師は、診療をした場合には、診療に関する事項を診療簿に、検案をした場合には、検案に関する事項を検案簿に、遅滞なく記載しなければならない。

獣医師は、前項の診療簿及び検案簿を三年以上で農林水産省令で定める期間保存しなければならない。

農林水産大臣又は都道府県知事は、必要と認めるときは、その職員に、獣医師について、診療簿及び検案簿(これらの作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。

都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定により得た検査の結果を農林水産大臣に報告しなければならない。

第三項の規定により検査する場合には、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

第二十二条 届出義務[編集]

獣医師は、農林水産省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他農林水産省令で定める事項を、当該年の翌年一月三十一日までに、その住所地を管轄する都道府県知事を経由して、農林水産大臣に届け出なければならない。

第二十三条 経過措置[編集]

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第五章 獣医事審議会[編集]

第二十四条 設置[編集]

獣医師国家試験に関する事務その他この法律及び獣医療法 (平成四年法律第四十六号)によりその権限に属させられた事項を処理させるため、農林水産省獣医事審議会(以下「審議会」という。)を置く。

第二十五条 委員[編集]

審議会は、委員二十人以内で組織する。

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委員は、次に掲げる者のうちから農林水産大臣が任命する。

  1. 獣医師が組織する団体を代表する者
  2. 学識経験がある者

第二十六条[編集]

審議会の委員の任期、報酬及び旅費その他この法律に規定するものの外審議会に関して必要な事項は、政令で定める。

第六章 罰則[編集]

第二十七条[編集]

次の各号のリンクの名前一に該当する者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  1. 第十七条の規定に違反して獣医師でなくて飼育動物診療を業務とした者
  2. 虚偽又は不正の事実に基づいて、獣医師の免許を受けた者

第二十八条[編集]

第八条第二項の規定による業務の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十九条[編集]

次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

  1. 第二条の規定に違反して獣医師又はこれに紛らわしい名称を用いた者
  2. 第十八条の規定に違反して診断書出生証明書死産証明書若しくは検案書を交付し、又は劇毒薬生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品投与若しくは処方をした者
  3. 第十九条第二項の規定に違反して診断書出生証明書死産証明書又は検案書の交付を拒んだ者
  4. 第二十一条第一項の規定に違反して診療簿若しくは検案簿に記載せず、又は診療簿若しくは検案簿に虚偽の記載をした者
  5. 第二十一条第二項の規定に違反して診療簿又は検案簿を保存しなかつた者
  6. 第二十一条第三項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

関連項目[編集]

参考文献[編集]